閉塞性脳血管障害

一過性脳虚血発作

脳の血管が一時的につまった状態で、脳の機能が一部低下します。例えば、一時的に眼が見えなくなったり、手足に力が入らなくなったりします。数分でつまった血管が再び開通しますので、症状は回復します。このような状態は、どこかに血管が一時的つまる原因があります。重篤な事態に陥る予兆と考えなければなりません。

図1閉塞性脳血管障害  図1

脳梗塞

脳の血管がつまって、脳の機能が一部低下、またはなくなってしまった状態です。その場所、大きさによって、半身麻痺、言語障害、視野障害、ふらつきなどの症状がいろいろな程度でみられます。多くは急に症状が出ますが、なかには数日間、だんだんと症状が悪化することがあります。

脳塞栓

心臓あるいは脳にいたる血管のどこかから塞栓(血の塊)が血液の流れに乗って脳の血管に流れてきてその血管につまります。

図2
閉塞性脳血管障害  図2

脳血栓

頸部頸動脈、脳内の主要血管に動脈硬化が進行して、血管の内腔が狭くなった状態です。脳への血流が減少したり、上記のような塞栓の源になります。

図3閉塞性脳血管障害  図3

ラクナ梗塞

脳内の細い血管(細動脈)が、つまる状態です。

図4
閉塞性脳血管障害  図4

 いずれにしても、脳梗塞に陥ってしまった脳の機能は二度と回復しません。ですから、脳梗塞が発症する前に、脳梗塞となってしまっても再発の予防のために、きっちりと検査をして、原因を確かめて、予防・治療を行っておくことが重要です。

どんな検査をするか?

CT:脳梗塞の場所、広がりを調べます。造影剤を用いて、血管の状態を調べます。

MRI:脳梗塞の場所、広がりをCTよりも詳しく調べたり、血管の状態を調べます。

頸動脈エコー:頸動脈に狭窄がないかどうかを超音波で調べます。

脳血管撮影:脳の血管に造影剤を流して、レントゲンで血管を写し出して調べます。

治療は?

治療は主として、脳血流改善剤と血栓予防の点滴・内服薬になります。障害された機能の回復にはリハビリテーションが重要です。

脳血流の改善、再発の予防

 脳の血流が減少したままの状態が続くと脳の機能が徐々に損なわれていきますので、脳血流を改善させる外科的治療が必要になることがあります。脳塞栓症の原因となるような血管の狭窄部分を広げておく外科的治療が必要になることがあります。

外科的治療

バイパス手術
浅側頭動脈-中大脳動脈吻合術
内膜剥離術

症例:69歳の男性、右眼が突然、見えなくなって数分間で再びみえるようになるというエピソードが何回かあった。

図5 術前血管撮影像
閉塞性脳血管障害  図5

図6 手術所見
閉塞性脳血管障害  図6

血管内手術(血栓溶解術、血管形成術、ステント留置術)

 血管の中からつまった血管を通したり、血管の狭窄部を風船で広げて、内にステント(金属の筒のようなもの)を留置したりします。