出血性脳血管障害

くも膜下出血

 くも膜下腔(図1)への出血のことです。多くは、動脈瘤(図2)の破裂によって、急激に大量の動脈血が出血します。その勢いが大きいときには、即時に脳が広汎に障害され、生命の危険な状態に陥ります。突然の激しい頭痛(いままでに経験したことないような、意識を失ってしまうような)で発症します。ほとんど例では何の予兆もなく発症します。
 くも膜下出血の原因には、動脈瘤破裂のほかに、動静脈奇形からの出血、外傷などもあります。
 出血源の迅速な検索が必要です。出血源が判り次第、可及的すみやかに出血源に対する
処置が必要です。

高血圧性脳内出血

 脳内の細動脈(文字通り脳内の主要血管から枝分かれした比較的細い血管)が、破綻して出血します。出血した場所によって出現する症状が異なります。いずれにしても症状は突然発症します。この疾患のリスクファクター(発症の頻度が高くなる要素)は、文字通り高血圧です。
 

どんな検査をするか?

CT:迅速に出血の位置、量を調べます。

MRI:出血した時期、出血と周囲の脳組織との関係、脳組織の損傷されている度合いを調べます。

MRA: MRIと同様の措置を使って血管を観察します。

CTA:上記CTと同様の装置、方法ですが、さらに造影剤という血管を観るための薬を注射して、血管を詳しく調べます。

脳血管撮影:脳の血管に造影剤を流して、レントゲンで血管を写し出して調べます。

CTA,MRA、脳血管撮影で、出血源を調べます。出血源(動脈瘤、動静脈奇形など)が判明すれば、手術によって、出血源を処理しなければなりません。

治療は?

高血圧性脳内出血:治療は主として、安静、血圧管理、止血剤の投与になります。出血が大きいとき( 30 ml以上)や、出血がつづいていて血腫が大きくなっているときは緊急手術となります。

保存的加療でのりきった後(3~数日後)、血腫が周辺の脳組織を強く圧迫している際には、定位的脳手術といって、コンピューターで血腫の位置を計測して、簡単な手術で血腫を除去することがあります。障害された機能の回復にはリハビリテーションが重要です。

くも膜下出血:同様に先ず、安静、血圧の管理、止血剤の投与が行われます。続いて、上記検査によって、出血源の検索を行います。出血源が判明し次第、可及的速やかに手術が行われます。手術には、開頭術によって出血源にクリップをかける方法と、血管内から出血源を埋め立てる方法があります。どちらが適切かは、患者さんの、状態、出血源の状況によります。

予後:出血によって損なわれた脳組織の機能によって決まります。出血の量が多ければ生命にかかわりますし、少量であれば、劇的な回復を期待できることもあります。出血によって不可逆的に障害された神経組織の機能の回復は残念ながら望めません。しかし、リハビリテーションによって、残存する神経機能を最大限に生かし、失われた機能をカバーすることができます。